会社のタクシーとの違いと、観光での選び方
「個人タクシーって、会社のタクシーと何が違うんですか?」――観光でご一緒したお客様から、道中いちばんよく聞かれる質問です。
先に、いちばん誤解の多いところからお答えします。料金は同じです。タクシーのメーター運賃は運輸局の認可制で地域ごとに決まっているので、個人でも会社でも変わりません。長崎県本土地区なら、どちらも初乗り770円です。
では何が違うのか。この記事では、制度としての個人タクシーの説明から、観光で選ぶときの利点と、正直に申し上げておきたい弱点まで、長崎で25年走っている人間の目線でまとめました。
個人タクシーは、道路運送法に基づく許可を受けた個人が、自分の車1台だけで営業する形態です。これを「一人一車制」と言います。
いちばん大きな特徴は、事業者と運転手が同じ人だということ。会社のタクシーであれば、経営する人と運転する人は別です。個人タクシーは、車を買うのも、整備に出すのも、電話を受けるのも、ハンドルを握るのも、全部同じ一人がやります。
屋根の上の表示灯が、会社ごとのロゴではなく、個人タクシー独自の意匠になっています。長崎の街で見かけたら、屋根を見てみてください。
個人タクシーの許可を受けるには、いくつもの条件を満たす必要があります。主なものは次のとおりです。
つまり、会社のタクシーで長く無事故で走ってきた人でなければ、個人タクシーにはなれません。思い立って明日から始められる仕事ではないのです。街を走っている個人タクシーの台数が限られているのは、そのためです。
これは自慢ではなく、制度としてそうなっている、というお話です。ただ、お客様が「この運転手に任せて大丈夫だろうか」と考えるときの、ひとつの目安にはなると思います。
実際に乗る側から見た違いを、正直に並べます。
| 項目 | 個人タクシー | 会社のタクシー |
|---|---|---|
| メーター運賃 | 同じ(認可運賃) | 同じ(認可運賃) |
| 運転する人 | いつも同じ本人 | その日の乗務員 |
| 次回の指名 | できる | 会社によっては難しい |
| 台数 | 1台のみ | 多数 |
| 当日の急な配車 | 埋まっていると受けられない | 対応しやすい |
| 5名以上・複数台 | 他の個人タクシーと連携 | 得意 |
| コースの融通 | その場で判断して変えられる | 規定の範囲で対応 |
金色の行が個人タクシーの得意なところ、白い行が会社のタクシーの得意なところです。どちらが優れているという話ではなく、向き不向きが分かれているだけだとお考えください。
観光タクシーで意外と大きいのがこれです。半日ご一緒すると、お客様の歩くペースも、興味の方向も、疲れ具合も分かってきます。「そろそろ休憩にしましょうか」と言えるのは、ずっと同じ人が見ているからです。
当店にも、何年も続けてご利用くださるお客様がいらっしゃいます。「前に行けなかったあそこへ」という会話から始められるのは、同じ人間が受けているからです。
雨が降ってきた、思ったより人出が多い、お母様が少しお疲れのようだ。そういうときに、誰かに確認を取らずにその場で判断できるのが個人タクシーです。事業者本人が運転しているので、判断がそのまま実行になります。
当店はクラウンでご案内しています。会社の割り当てではなく、自分で選んだ車です。掃除も点検も自分でやります。後席の座り心地は、私が毎日いちばん気にしているところです。
いいことばかり書くのはフェアではないので、弱いところもお伝えします。
ですので、「今すぐ空港まで」といった場面では、迷わず街なかのタクシーや配車をお使いください。そのほうが確実です。個人タクシーが力を発揮するのは、あらかじめ日にちを決めて、ゆっくり回りたいときです。
長崎にも複数の個人タクシーがあります。選ぶときは、次の点を見ていただくとよいと思います。
| 見るところ | なぜ大事か |
|---|---|
| 観光の案内をしているか | 移動専門の個人タクシーもあります。観光なら案内の経験があるかを確認 |
| 料金が明示されているか | 時間制のコース料金が事前に分かるかどうか |
| 車種と定員 | 長時間乗るなら、後席の広さは体に効いてきます |
| コースを変えられるか | 当日の天気や体調に合わせられるかどうか |
| 電話で話してみた感触 | 半日ご一緒する相手です。ここがいちばん確かかもしれません |
「こういう回り方をしたいのですが、できますか」と聞いていただければ、たいていの個人タクシーは正直に答えます。できないことはできないと言います。1台しかない商売なので、無理を引き受けて迷惑をかけるほうが困るのです。
参考までに、当店のことも書いておきます。
料金の詳しい仕組みは「長崎の貸切観光タクシー 料金相場と選び方」に、コースの中身は観光コースにまとめています。
いいえ、同じです。メーター運賃は運輸局の認可制で地域ごとに決まっているため、個人でも会社でも変わりません。長崎県本土地区なら初乗り770円です。
観光の貸切は時間制で、事業者ごとに設定されています。ただし相場は近い水準に収まりますので、金額で大きな差はつきにくいとお考えください。だからこそ、中身で選んでいただければと思います。
1台の定員は大人4名までです。5名以上の場合は2台体制でのご案内も可能ですので、ご相談ください。ただし日程によってはお受けできないことがあります。
空いていればお受けします。「明日空いていますか」というお電話も歓迎です。ただし1台しかないため、先約があるとお断りせざるを得ません。日程が決まっていれば、お早めのご連絡が確実です。
個人タクシーの許可には、長年の無事故無違反の実績と試験の合格が必要です。また車両の点検・整備も、法令に基づいて受けています。1台で商売をしている以上、事故を起こせば仕事そのものが止まります。安全に対する動機は、誰よりも強いつもりです。
個人タクシーの一番の特徴は、良くも悪くも「その運転手そのもの」が商品だということです。会社の看板がない代わりに、逃げも隠れもできません。長崎でお会いすることがありましたら、その目でお確かめください。
「こう回りたい」をお聞かせください。
できること・できないことを正直にお答えします。