和・華・蘭がひとつの円卓に。長崎だけの宴会料理を地元ドライバーがご案内
卓袱(しっぽく)料理は、和食・中華・洋食(オランダ)がひとつの円卓に混ざり合う、長崎独特の宴会料理です。
鎖国時代も海外に開かれていた長崎では、和・華・蘭の文化が溶け合った「和華蘭(わからん)文化」が育ちました。卓袱料理は、その象徴ともいえる食の芸術です。
この記事では、卓袱料理の成り立ちとお作法、代表的な料理、そして観光コースへの組み込み方まで、地元25年のドライバーがご案内します。
卓袱料理の最大の特徴は、朱塗りの円卓を囲み、大皿の料理をみんなで取り分けるスタイルにあります。一人ずつお膳が出る日本の伝統的な宴席とは、まるで違います。
これは中国の食卓文化がもとになったもので、そこに和食の技法、オランダ由来の洋風料理が加わって、長崎だけの宴会料理になりました。
身分や国籍を問わず、同じ卓を囲んで箸を伸ばし合う。上下の席次にこだわらないこのスタイルには、貿易の街として世界と付き合ってきた長崎らしい、おおらかさが表れています。
卓袱の宴席には、決まった始まりの合図があります。女将さんの「お鰭をどうぞ」という挨拶です。
「お鰭」とは、鯛の吸い物のこと。お客様一人に鯛一尾を使うという意味を込めた、おもてなしの一椀です。全員がこのお鰭をいただいてから、乾杯となり、円卓の大皿料理が始まります。
難しい作法はこれくらいで、あとは好きな料理を自由に取り分けてよいのが卓袱流。初めての方でも肩肘張らずに楽しめます。
卓袱の主役ともいえる豚の角煮。中国・杭州の名物料理がルーツで、箸で切れるほどやわらかく炊き上げられています。長崎土産の「角煮まんじゅう」も、この東坡肉から生まれたものです。
エビのすり身を食パンで挟んで揚げた一品。明治期に中国から伝わり、長崎の宴会や食べ歩きの定番になりました。外はサクッと、中はぷりっとした食感が魅力です。
洋の要素を代表するのがパスティ。具材の入った器にパイ生地をかぶせて焼いた、南蛮渡来の流れをくむ料理です。和・華・蘭が一つの卓に載っていることが、目でも分かります。
「夜は卓袱」を組み込んだ観光プラン、ご相談ください
090-2507-9761 受付 11:00〜21:00(年中無休)本格的な卓袱料理といえば、史跡料亭 花月をはじめとする老舗料亭。江戸時代から続く空間で、女将の「お鰭をどうぞ」から始まる正統派の宴を体験できます。
「宴会までは大げさかな」という方には、一人前から楽しめる卓袱御膳を出すお店もあります。ご夫婦やお一人旅でも、卓袱の雰囲気を気軽に味わえます。
ひとつ大切な注意点として、卓袱料理は予約制のお店が多いということ。旅行の日程が決まったら、早めの予約をおすすめします。
※営業情報・料金は各店の公式情報でご確認ください。
長崎の食べ物めぐりなら、ちゃんぽんやトルコライス、お土産の定番カステラとあわせて計画するのも楽しいですよ。
おすすめは、昼間にタクシーで観光を済ませ、夜は卓袱で締める流れです。
料亭は坂の途中や細い路地にあることも多く、場所が分かりにくいのが難点。タクシーなら観光の締めくくりにお店の前までお送りできるので、迷う心配も、坂を上る疲れもありません。
卓袱料理を予定されているお客様には、私はいつも「昼食は軽めにしておきましょう」とお伝えしています。お鰭から始まって大皿が次々と出てくるので、思った以上にボリュームがあるんです。それから、料亭の多くは丸山や思案橋のあたり、車がやっと通るような坂と路地の奥にあります。観光の最後にお店の玄関先までお送りして「ここが昔の花街ですよ」と昔話をひとつ添えるのが、私の定番のご案内です。帰りのタクシーの呼び方までお伝えしてお別れしますので、夜も安心ですよ。
卓袱料理は、単なるごちそうではなく、長崎が世界とつながってきた歴史そのものです。朱塗りの円卓を囲めば、和・華・蘭が溶け合う長崎の面白さが、舌でも実感できます。
昼の観光と組み合わせれば、長崎の一日はもっと豊かになります。ぜひ旅の計画に「卓袱の夜」を加えてみてください。
昼間の観光は貸切タクシーで効率よく。お時間に合わせてご案内します。
観光の締めくくりに料亭の前までお送りします。
坂の上のお店でも、迷わず、疲れず。